舞台になった、カフェ・モミュスなんですが、実はThomas Boysという画家がスケッチを残しています。
ケンブリッジ・オペラ・ハンドブックの表紙にスケッチの一部が使われているので、記憶にある方もいらっしゃるかもしれないですね。
画像検索でしっかり見つかりました。
壁にちゃんと「カフェ・モミュス」とあります。ビリヤードっていう文字もみえます。
こちらの絵は複製画を14.9ユーロから(税込み)で購入できるようです。よろしければおひとつ……
う~ん。 実在したのですねえ……だけど、なんだかちょっとイメージは違う雰囲気はします。
場所はどこでしょう。水彩画の方の説明には、Rue des Prêtes, Paris とあります。多分、これは住所でしょう。
地図を広げて調べると、その通りの名そのものは既に見つからず、3 Rue des Prêtes Saint-Severinと言うところにサンセヴラン教会があります。カルチェラタンの近く、サンジェルマン通りのすぐ北、イル・ド・フランスといわれる地域です。
ちょっと微妙だなあ…… と思いつつ、ト書きを読んで行くと、色々と通りの名前が出てきますね。
市民達が「Via Mazzarinoに行こう!さあ、Cafe Momusへ行こう!」と言います。(ヴォーカルスコア98ページ)パリの場合、Rue Mazarine(マザリーヌ通り)でしょうか。
地図を広げてみると、ああ、ありました!マザリーヌ通りにムゼッタが立つ(116ページト書き)と、ドフィーヌ通り(106ページ)との交差点を挟んだその向うの旧コメディ通りにパルピニョールが去ってゆきます(110ページ)。
そのちょうど5つの通りがちょっと変則的に交差する角には まさにこんな感じ!というカフェが両側にあります。
Le Buci とLe Conti…… あ、ちょっと惜しい!モミュスじゃないっ!!(笑;;;;
それでもその辺りはまさに カフェ・モミュスのイメージにぴったりですね。
実は、別のルートから、モミュスのあった場所が判りました
17 Rue des Prêtres-Saint-Germain-l’Auxerrois だそうです。
関係者の家やモミュスの場所を入れたGoogleMapを作って、公開しておきましたので、興味のある方はどうぞ。まあ、リアルに場所がわかったからってどうってことはないですが(笑;;;
だけど、これで見ると、モミュスって、ポン・ヌフを超えて、対岸にあるんですね。
ところで、オペラの中に登場するカフェ・モミュスのモデルには、もう一つ、プッチーニが当時滞在していたトリノのテアトロ・レージョ近くにある カフェ・ビチェリン(Al Bicerin)がそうじゃないかという説もあります。
創業が1763年とのこと、少なくとも初演を前に準備が忙しかったプッチーニが通っていた事は想像に難くないでしょう。
–イタリア人ですもの、3歩歩いたらバール寄りますからね–
ひょっとして、音楽のイメージの中に このカフェが反映されているかもしれないですね。
ところで、ここでクイズをひとつ。
実在の4人の若者達(当時「四銃士」と呼ばれていたそうですよ)をモデルにした、ロドルフォたち4人。カフェ・モミュスへは、このクリスマスの晩に「A:実は初めて行った」いえいえ、「B:何度も行った事がある」
さてどっちでしょう。
応えは「B:何度も行った事がある」です。
え? だってボーイが持ってきた会計書見て「高っ!!!」って叫んでいましたよね。自分たちの懐具合も値段もわからないでモミュスに繰り出していったって??
そうなんです。そこんところについてもリブレットにはちゃんと書いてあるんです。
「彼らは、何度もモミュスに出かけ、請求書を受けても払う事もなく出てくるところも一緒で……」
のどかな時代なんでしょうか。
確かに、今回もそれなりのお金をしっかり手に入れてモミュスに行った筈なのに、コート買ったり、ボンネット買ったり、そもそも先に全部使っちゃっていましたよね。
ちなみにビチェリンとは ホットチョコレートにコーヒーとクリームを泡立てたものだそうです。せんだって、念願叶ってトリノへ行くことができましたが、悲しいことに、カフェ・ビチェリンは定休日でした。
オペラ 「ラ・ボエーム」ヴォーカルスコア
【確認したくなったら…】やはり気になったようでしたら、ぜひスコアでご確認下さい。リコルディ社がやはり一番スタンダードかと思いますが、気をつけないと改変されていることがあります。表紙の絵が一つの目安。現在はこちらのタイプです。しっかし高くなりました。古い版が多少安く出ているかと思いますので、演奏家の方でなければそちらでも良いかもしれません。
こちらはピアノ伴奏のヴォーカルスコアです。
オペラ対訳ライブラリー「ラ・ボエーム」
【対訳はご入用ですか?】
リブレットを読んだりするにはこちらの方が手っ取り早いかもしれませんね。言葉を話せてもけっこうめんどうなのがオペラの歌詞。韻文の美しさをどのように訳されているのかを楽しむこともできます。もちろん、小説版やコミックでどのような言葉が採用されているのかを楽しむこともできます。